いい会社はどこにある？ いい人材はどこにいる？

そんな想察をしていると、思いがけないセリフが別のひとりから投げかけられました。
「いいなあ、そんなふうに考えられる会社」と。

おいおい。ヒトの話をちゃんと聞いてたのかよ？　うらやましく思えるコメントなんかどこにもなかったじゃないか。
当然まわりのみんなは、問いただします。

「みんなが問題意識をもってグチを言い合える風土なんて、ウチの会社にはない。ワンマン社長の鶴の一声でなんでも決まってしまうし、その社長に意見しようにも、長期出張だ、ゴルフだ、交流会だといって姿をほとんど見せない。そもそも社内にコミュニケーションなんて存在していない。意見をいいあう仲間がいるなんてすごくうらやましい」
というのです。

モノの考え方で解釈なんて１８０度変わってしまう。わかりやすい事例でした。

だれでも隣の芝生が青く見えてしまうものです。
かつての私自身も、そんなふうに思ってばかりの時期がありました。東京で活躍し有名になった元同僚、会社を成長させた経営者、ひとりで気ままに好きなことを商売にしている同級生などなど。みんないいよなあ…と。
しかしよく考えたら、そのすべてを自分で選択してきたわけですから、だれのせいでもありません。他人をうらやましがっているだけの「ダメな自分」がいるだけです。

気の持ちよう、といってしまえば月並みな答ですが、それしかありません。私がグズグズ悩んでいるときに、いつも友人（住設工事を営む職人親方）がいいます。

「バカだなあ、もっと今を楽しめ！　いったいオマエごときが何様だ？　会社に仲間がいて酒飲んで飯が食えて家族がいて時々旅行なんかにも出かけてるクセに、なんだよオマエ。成長だとか野心だとか、そんなものは人生のオマケ。オマケまであるヤツが楽しめないわけがねえだろ。バカだなあオマエはホントにバカだ」

「バカだバカだ」と連発されると「反省する」というよりムキになってしまいます。
だからでしょうか。なつかしい連中と会ったときに私は「自分がいかに目の前の苦労を楽しんでいるか」を話します。すると、たいていのヒトは「いいですね」とおっしゃる。
ホントはヤなことだってあるんですが。