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不揃いの林檎たち

私はテレビをあまり観ません。

とくに最近のバラエティ番組をにぎわせている人気タレントさんたちの存在をほぼまったく知らないので、話題についていけないことがしょっちゅうです。
最後に観たTVドラマは『ふぞろいの林檎たち』の第2シリーズだと告げると、同世代だけは驚くのですが、世代を超えた先輩方や二十代の若者たちにはまったく通じません。それもムリのないことでしょう。そのドラマが放映されていたのは、20年以上も昔。1985年の話だからです。


あらすじは、大学を卒業し実社会へ出て、様々な悩みを抱える若者の話です。そのうちのひとりは物流会社でイヤな上司にいじめられる仲井貴一さんでした。彼の姿を見て私は、サラリーマンの悲哀を学んだ気がします。ちょっとだけグレてた私を反省させてくれたのです。『少しはああいう苦労もしといたほうがいいだろうな』と、私の考えをオトナにしてくれました。
また、社会に出たあとのビミョーな人間関係も心に染みました。小さな機械部品商社に入社した友人同士が、ひとりは上場企業へ引き抜かれ、もうひとりはうだつが上がらないまま。すると、劣等感を持ってしまったほうがどんどんスネていく。そんな人間関係をながめながら、私は自分自身が負けない「職」とはなんだろうか…と考えました。
また看護婦さんになじめずにとうとうホステスさんになってしまう石原真理子さんの演じていた役は、今思えばミスマッチに悩む姿そのものでした。その彼女の将来を心配するカレ氏、仲井貴一さんもまた自分探しに悩んでいるところが切なくて共感性をもてました。

…と、このように件のドラマでは、心模様を見事に描いていたのが印象的です。社会に出て向かえる経験から複雑に考え方が変わっていく。変化の過程での人間関係や恋愛感情などがよく表現されていて、私はドラマの中の“林檎たち”の姿に身を置き換えていました。
会社での上下関係、転職、恋愛‥‥。当時の私にとってはこれらすべてが人生をおもしろく変えていく材料だったのです。

そのドラマから2年後。22歳の私はリクルートに入社しました。幸いリクルートでは複雑な人間関係に悩むことはありませんでした。…が、シゴトで出会うのは「不揃いの林檎たち」を地でいくような数々の企業たち。あの当時からはたしていくつの会社の事情を聞き、職場環境を目にして、短時間だけでは到底くみ取れない人間関係の一端を取材してきたことでしょう。
まさかその経験を活かしてビジネスをするとは思いませんでしたが、今の私なら上司のイジメに悩む仲手川クン(仲井貴一氏の役柄)の相談相手ぐらいはできるかもしれません。

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2006年5月14日 23:02に投稿されたエントリーのページです。

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