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「シゴトを辞めた」という言葉の響き

「シゴトを辞めた」という言葉の響きから、どうもなんだかネガティブに聞こえてしまうヒトと、明日の自分を今以上に幸せにする…という決意に満ちたヒトの差が、はっきりとあらわれます。

先週一週間で「経営者を辞めたヒト」「編集長を辞めたヒト」「プロミュージシャンを辞めたヒト」の話を聞く機会がありました。

幸い私が会った方々は、皆さん前向きで暗いトーンを感じさせるヒトはいませんでした。それぞれ事情は違うので、十把一絡げに語ることはできないのですが、共通しているのは、皆さん過去を引きずっていないことでした。「これからの自分」を楽しみにしているのです。
経営者を辞めたNさんは、過去の会社経営での経験を将来の自分に活かす方法を模索していました。「経営の舞台から突然降りることになりはしたものの、僕の年齢でこんな経験している人はあんまりいないと思うから、これを活かしたい」とおっしゃっていたセリフに骨太さを感じます。
編集長を辞めたTさんが担当していたメディアは、その分野ではメジャーな存在でした。ご本人もマスコミなどに登場する機会も少なくなかったのですが、そのポストに固執せずに自身の意志を固めたのです。これまで達成してきた自分の功績に満足感を得ていましたから、次の行き先探しについてまったくアセりを感じさせません。
ミュージシャンを辞めたHさんは、全国をライブ行脚するインディーズバンドの一員でした。すでに数年間プロとして生計を立てていたわけですから、その道をあきらめるのは苦渋の決断が必要だったかもしれません。しかし、これから入社する会社の仕事内容について熱く盛り上がっている様子が伝わってきます。次の職場で真剣に取り組めば、バンド以上にメジャーな存在にも成り得ることを感じているようでした。

シゴトを楽しんでいないヒトというのは、(積極的に取り組もうという)モチベーションは低い。しかし、辞めたい理由だけは積極的に探しています。そりゃ、今の環境がどんどんつまらなくなってしまうのはアタリマエです。そんな考えをもった方が実際に会社を辞めてしまうと、間違いなく青い鳥症候群(※今よりいい環境があることを夢見て転職を繰り返す人)になってしまうでしょう。

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2006年5月21日 01:47に投稿されたエントリーのページです。

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