「会社というのは、自分たちがうまくできることを事業価値にしますが、経営者というのは、“こんなこともできていない”という現状を認めながら事業を前へ進めていかなければなりません」
と…以前、とある大手物流企業の社長さんがそんなふうにおしゃっていました。
なるほど、傲りをなくして謙虚な気持ちで経営に取り組むためには「そりゃ本当に大事なスタンスだなあ」と感心させられました。
昨今、CSRだ!クレドだ!と時流に乗っかるためだけに、いろんなカッコいいことをしている会社もあります。そういう会社って、最初はとても目立っているのです。カッコよく登場する。やがて経営者がマスコミに登場する頻度が上がるにつれ、ますます勢いに乗っていきます。だれもペラペラのメッキだとわからない。経営者たちは自分のビジネス手腕に酔いしれている。
そんな薄っぺらな会社からのオファーを受けても、中味のなさに気づくのにほとんど時間はかかりません。
そりゃ小職では築くことのできない構想を描き、事業化し、大きな利益を積み上げている姿は、さすがです。マネのできない能力をうらやましく思ったりもします。
しかし、「いい会社」と「宣伝がウマイだけの会社」は別なのです。
「いい会社」も「宣伝のウマイ会社」も、自分たちが取り組んでいることに対しては自信たっぷりなのではじめは見分けが付きません。しかし、宣伝だけの会社はヒアリングを進めていっても、ホネのある現場感が見えてこない。そこからにじみ出る理念を感じないのです。
極端な例では「宣伝は一通りやったので、そろそろ我が社の理念を創ってくださいよ」と、堂々と言う企業もあります。その会社をクライアントとする広告代理店の担当営業マンが気の毒になりました。
ま、我々も迷うわけです。我が社の事業である「採用広報」のシゴトだって紛れもない「宣伝」です。求職者にとっては意味のないことをアピールしたがる企業はあります。編集記事だって発行元の意図が入り、チョーチン記事になってしまうことがないわけではありません。
ホントは「そんなシゴト、オラたちはできねえ」とツッパリ通したい。ホントはね。
それが我が社流のCSRなのかもしれません。だから商売がヘタなんですが。