シゴトをノリノリでやっているヒトっていうのは、周りにも前向きな空気感を作り出します。ヘンな使命感や気負いがないからとても気持ちがいい。「モチベーション維持の目標設定」とか「日付を付けた夢」とか「次世代ビジョンの具体化」とか「企業成長のためのナントカ」と‥‥。そういうのも、ま、尊敬はしますけれど、私個人的にはそういうストイックな雰囲気を前面に出してアピールするのは苦手です。
一週間ほど前、私はとあるプレゼン用の企画内容について株式会社パパジーノの社長、夏秋亨氏に相談に乗っていただきました。「オマエとの話が終わったらすぐに新幹線に飛び乗らなけりゃアカン」というほど忙しい時間をムリヤリ割いてもらっていると知り、ちょっと恐縮です。
私のアタマの中の、ボンヤリと霞んでよくわからない茫洋としたイメージをかいつまんでお伝えすると、とたんに顔色を変えてどんどん話が前にすすむのです。
「ほ〜、なかなかオモロいじゃん。やろうやろう。」と目を輝かすと同時に席を離れ、再度戻ってくると「それならこんなアイデアはどうだ?」と、サンプルがワンサカ出てきます。私が追加でイメージを伝えると、「あ、それおもしろいな!すぐに生産が間に合うか確認しよう」と、落書きレベルのアイデアなのに、生産担当のスタッフに製造工程を詰めて、納期を絞り込んでていきます。そして「おいおい、この企画は他の業界にも横展開できるぞ」って…。どんどん前に進んで行っちゃう。唖然です。
鼻歌を唄いながらママチャリに乗って相談に行ったら、突然モンスターマシンでサーキット走行をすることを提案され、しかもそれが現実感もあって、ワクワク感も味わった感じっていうんでしょうかね。
何よりそれを考えている夏秋さんの表情がサイコーです。ノリノリです。
プレゼンが終了した翌日、氏から電話が鳴りました。なんとせっかちなヒトでしょうか。もう進捗状況が知りたいのかと、私は心の中でつぶやきながら受話器を取りました。ところが電話の向こうからは違った反応が返ってきました。
「なにぃ?もうプレ終わっちゃったか。残念! なんかあれからまたおもしろいアイデアを思いついちゃってさ。いてもたってもいられなくなって電話したんだけど‥‥。あ、別の電話が入ったから、またねブチッ…ツーツーツー」
ああ、シゴトを楽しんでやっているよなあ、このヒトは。
現実感をもってイメージする。具体的なアイデアをどんどん出す。知りたいことは今すぐに確認して詰めていく。納期を決める。なるほど、これがスピード感なのでしょう。そしてそれを楽しんでやっている。デキる大人はダラダラ考えないものなんですね。