オタクな話で恐縮ですが、私はかの中嶋悟氏がF1デビューを果たした年から約20年、ずっとF1を観戦しつづけています。日曜深夜のTV放映時間にもかかわらず、いい年こいたオジサンがその闘いを追いかけ続けているのはなぜだろう…と、自分でも不思議。カメダ何某の世界タイトルマッチを見逃すようなことがあっても、F1だけはチャンネルを譲りません。
つい先日のF1ハンガリーグランプリではホンダが久しぶりの優勝を果たしました。ここ数年のTVではアイドル風のキャスターが「ジャパンパワーがんばれ!」などと、ホンダ以外の参戦メーカーにも声援を送っていますが、やはりホンダの優勝は格別です。まったく役者が違うのです。大衆向けの単車しか生産していなかった本田宗一郎氏が、「世界一を目指さなければ日本一なんてなれっこない」とF1に参戦を果たしたのは1964年。なんと私の生まれた年です。その意志がイカすじゃありませんか。
「欧州マーケットを意識して若者にアピールして…」
なんてセコい商売ッ気でF1を説明されても、シビれる魅力を感じません。やっぱり本田宗一郎氏の侠気にこそオトコが惚れる男の真髄が見えてきます。
そんなホンダが優勝した次の日、英国タイムズ紙に広告を載せました。
「"Without racing there is not HONDA", declares our founder. 42 years later we still believe in the ultimate moter sport challenge; winning in Formula One.(私たちの創業者は「レースなしではホンダはあり得ない」と宣言しました。42年後の今も、私たちは依然としてF1優勝というモータースポーツの究極の挑戦を信じています。)」
強い理念を持っている企業が言うと、なんだかカッコよく聞こえてきます。
そういえば、ル・マン24時間レースではじめてマツダのレーシングカーが優勝した次の日、ライバルチームのジャガー・カーズが出した広告も惚れ惚れしました。
キャッチは"Congratulations MAZDA"。ボディコピーに「我々はル・マンで勝つ事の難しさを知っています。マツダの快挙はルマンの歴史が記憶します‥‥云々」と。
たとえそれがどこかの広告代理店の仕掛けだったとしても、「さすが英国紳士のメーカー!」と思わずにはいられません。
ホネのある会社は言うことの重みが違います。
私たちも「ヒトの心を動かす情報発信」の分野では、ホンダやジャガーのような威風堂々とした発信で世の中に影響を与えられる企業になりたい。…と強く思います。