毎日深夜まで会社およびその界隈にいるので、
電車に乗って帰路につく日はあまり多くありません。
我ながらタフだなあと思いますが、それが日常になってしまったので
夜の電車はどうも不慣れなようです。
その日は、たまたま電車で帰ることになりました。
いくつか空席ができたので、私もグッタリと横並びの席に腰を沈めます。
カバンの中をゴソゴソとあさってみたのですが、
一日の疲れを全くほぐしてくれそうもない雰囲気のビジネス書しか持っていません。
「しまったなあ、こんな時に読みたい本を持ってないなあ」
と思ったのですが、
昨今はミュージックケータイが通勤の友になっているおかげで
それほど落胆することはありません。
ほぼ音漏れが皆無のイヤホンが心強い味方になっています。
オッサンと思えないほどの大音量で、
お気に入りの心地よいロックがランダムに流れてきて私には至福の時間。
♪〜・・・・・
肩を叩かれてハッと気が付きました。
私の顔をのぞき込んで私の肩を突いているのは
車掌さん駅員さんではなく50代後半のお出かけ帰りとおぼしき乗客のオバサンです。
消えなくなった眉間のシワをさらに深くチカラを込めてにらんでいます。
しかも「ツァッ」という音で舌打ちをしています。
間違いなく、私の存在が『社会の迷惑』という視線です。
慌ててイヤホンを耳からはずし
「あ、ありがとうございます。すみませんでした」というのが精一杯。
眠ってしまったようです。
しかも目の覚めた駅は終点であることが雰囲気でわかります。
しかし、耳からの大音量が
まったく脳に影響を与えずに眠っている私のカラダのしくみは
いったいどうなっているのでしょうか。
そういえば、少し以前、
出張で福井にいく時にもこんなことがありました。
耳にイヤホンをしながら出張先の資料などを読んでいたら、
突然、前の席にいたオバサンが
シートの向きを突然対面式に変えてしまうではありませんか。
ワタシャ今から北陸の温泉に行くんだからね
友だちを呼んでここの席に座るんだからねどけどけ!と言わんばかりの
すごい挑戦的な目をして睨まれています。
なんちゅうヤなオバサン。
ジェントルマンな私は、
オバサンを睨み返すような愚かなことはしませんでしたが、
目の前でわざと切符をながめ、指定席の番号を確認したりして無言の反撃。
でもすぐに私の過ちに気づきました。
特急「しらさぎ」は米原駅で進行方向が変わり、
乗客に座席の回転への協力を求める車内放送が流れるらしいのですが、
それがイヤホンのため全く耳に入らなかった。
無愛想な顔をしたオバサンのほうが正義の主張をしていたわけです。
「なに?このボケたサラリーマン」と憤っていたことでしょう。
生きて活動していくということは、
少なからず社会の迷惑もかけてしまうものなんですね。
深く反省してしまいます。