何年ぶりか思い出せないけれど、
とても久しぶりにカメラマンさんのスタジオに足を運び、
ブツ撮りの撮影現場に立ち会いました。
カメラマンスタッフの方々の
シゴトを進めていく会話のやりとりに、仲の良さがほのぼのと伝わってきます。
それを見ていたら、なんだか私もとてもいい気分。
そんな風景をボンヤリ眺めていたら、
二十代半ばの自らの経験がフラッシュバックしてきました。
カメラマンさんのスタジオへ押しかけては、
ありとあらゆる奇妙な撮影依頼をしていたバカヅラ小僧時代のことです。
しかしあの頃、
明け方まで好き勝手な無理難題を言い放っていたのに、
よく快く引き受けてくれたよなあ。…と、今頃になって再び感謝。
たとえば、
タマゴを割って黄身が落ちていく瞬間、
スタジオ内の白バックで飛んでいる模型飛行機、
氷詰めにした雑誌、
テレビのブラウン管が割れて煙が出る瞬間、
その割れて(割って)しまったテレビを大きな水槽に沈めたところ、
粘土細工で作ったビルと新幹線を皿に盛り付けたサラダ、
ドアップのドラゴン花火、
昭和レトロなホンダN360(軽自動車)に映り込む人、
アルミホイルと白砂で作った日本地図、
おもちゃのピエロと積み木であふれた約2m四方の空間、
宙に浮いている(ように見える)生ビールの入ったジョッキ‥‥、
デジカメもフォトショもない時代だったので全てスタジオ撮り。
苦労と工夫を重ねなければならなかったカメラマンさんは、
さぞ迷惑だったことでしょう。
アタマの悪い若造のムダなこだわりは、
なんと意味のない(センスもない)依頼だったことか。
でもあの時代、
私はそれを心から楽しんでいたわけです。
当時勤務していた会社での私は、ほぼ毎週徹夜で働いていたので、
撮影につきあう余裕を作り出すのは至難のワザでした。
わざわざ面倒なモノを撮影しなければならない案を押し通さなくても、
カンタンに制作できる別案を立てたほうがメッチャ効率的。
にもかかわらず、苦労するプロセスを喜んで選択していたのです。
思えば、凝りすぎて間違ったモノも制作していた…と、
反省するケースもありました。
制作原価がかかりすぎてしまい、経理課長からネチネチネチネチと
イヤミも言われた回数も1度や2度ではありません。
やがてバブル経済が終焉を迎え、
クライアントの緊縮財政により制作費を抑えられた背景と、
リアルな現場を伝える求人アプローチへシフトしていった時代変化によって、
トンチンカンな発想のブツ撮りを依頼することはなくなりました。
この日、スタジオでディレクションする弊社スタッフの姿と
撮影セッティングに苦労するカメラマンさんたちとのやりとりを見て、
なんだかとてもノスタルジック。
あの頃撮影していただいたポジフィルムの残骸を探して
そっと眺めてみた。
コメント (1)
shuさん、こんにちは。
rssリーダーが反応したので来てみると
見慣れたsteinbergerとTYPE-Rがっ(笑)
取り上げていただいてありがとうございます。
弊社はライン作業の無い金型製造業なので人財が
すべてだと思っています。
ただ、来年は良くも悪くも全社員の総合力が
試される1年になりそうです・・・。
また、飲みに行きましょう。
投稿者: 岩田 | 2008年12月27日 00:55
日時: 2008年12月27日 00:55