私にとってそこは企業というよりも
尊敬して憧れたヒトのふるさとと言ったほうがよいでしょう。
失礼を承知で言いますけれど、
誰に会って何を取材するかなんてことはもう全然どうでもよくて、
ここに来てシゴトができる事実だけで大興奮なのです。
約束の時間より15分早い朝9時に青山一丁目に到着しました。
創業者が頑なに譲らなかったという
深い意味のこめられたあの本社ビルの形を見るだけで哲学を感じ、シビレてしまうのです。
ビルに入るときには、心の中で手を合わせました。
‥‥って、しょっちゅう出入りしているようなヒトには、
アホなオノボリさん丸出しなんですが、
初めてだったし、私にとっては神様の聖地に来た気分なんです。
本田技研工業本社ビル。
M下K之助氏の経営者勉強会に参加して
経営哲学などを比較的真剣に学んでいるつもりなんのですが、
やはり私には本田宗一郎さんの破天荒な生き方、揺らぎのないまっすぐな考え方、
ハチャメチャだけど堂々としたスタイルが本当にカッコいい。
F1チームスーパーアグリ撤退のニュースを聞いて、
存続を訴えるためにファンが集まってくる。そういう会社なのです。
我が地元の大手自動車メーカーの本家ワークスF1チームが
ある日突然撤退を発表したとしても、
あんなふうにファンが集まったりしないと思います。
もう一回読もうかな。「俺の考え」。
その日、夜。憧れた昭和のエッセイの町、しんみち通りの安普請な居酒屋で
デビュー当時の椎名誠氏の気分に浸る。