(前回のつづき)時計は12時40分。
私たちはその時、千葉県船橋市にいました。
13時30分には日本橋久松町にあるD社にいかなければなりません。
「大丈夫。ギリギリですけど間に合います」
代理店の営業Kは力強く言った。‥‥のが間違いの始まりだった。
Kと弊社花子、そしてワシの3名は早足で
船橋駅前の商店街を歩きながらひるめしの問題を検討しはじめた。
(※ワ=ワシ/花=花子/K=K)
ワ「メシ抜きのまま16時過ぎまでかかるんだよな」
K「そうですね。何か買って電車で食うぐらいしかないっすね」
花「ええ!? 電車で食べられるようなモノあるんですか?」
ワ「牛丼とか5分メシなら大丈夫じゃね?」
K「そんな余裕はありません」
花「そんなに急いで食べられません」
そんな我々の目の前に黄色い「M」のマークが現れた。
K「ここでなんか買ってきましょうか」
ワ「う〜ん‥‥それしかなさそうですな」
花「ポテトとか匂いませんかね。電車の中じゃ」
…と、躊躇しつつも3名は店内へ。
急いでいる時に限って、レジはヒトが並んでいた。
自分たちの順番が来たときにはじっくりメニューを選ぶ余裕もありません。
ワ「◎△×□セットください」
K「ボクも同じので‥‥(とケータイをごそごそ)」
花「じゃあ私も同じ」
K「あ、すいません!クーポンがあります(ケータイクーポンを見せる)」
店「すいません。クーポンは二つまでなんです」
K「え?クーポン3つ使えないの?」
ワ「もう時間がないんだから割引抜きでいいじゃん。現金で払うよ」
花「じゃあ私は*%=#セットに変更してください」
K「あ、じゃあそれのクーポン」
…と。Kは時間が迫る中でクーポンにこだわる落ち着きを見せた。
店「お待たせしました。ありがとうございました」
花「‥‥デカいですね。ニオイますよね」
ワ「これ、ベンチシートの電車でムシャムシャ食うのか?」
K「だいぶヘンなサラリーマンですよね」
花「私たち、そんなにまでしてランチ食べたかったんでしょうか‥‥」
歩いていると、中華まん専門店がありました。
ワ「アレのほうが手軽そうでよかったよな」
花「ホントだ!しまった」
5分前に駅に着きました。改札横には立ち食いソバ屋があります。
K「あ、ここに入っても間に合いましたね」
花「…って、KさんがMに決めちゃったんでしょ」
改札をくぐってホームに出ると、残念ながらとてもにぎやかです。
K「まだ少し余裕がありますからホームの人目を避けたベンチで…」
花「人目、どこでもありますけど」
ワシ「(無言でホームの人目のない場所を探す)」
そんな時にKが起死回生の発見をした。
K「私たちの乗る電車、どうやらグリーン席があるみたいですよ!」
ワ「ナイス!それに乗ろう。それしかない」
花「それ、いくらかかるんですか?」
調べたら750円らしい。
しかし構内でグリーン券を買うと250円高くなる
というような注意書きの看板もある。
花「つまりこれ約1500円のハンバーガー! ありえん!」
K「クーポン、意味なかったですね…」
花子のセリフ、
「私たち、そんなにまでしてランチ食べたかったんでしょうか‥‥」
が身に染みた。
慌ただしいサラリーマンのひるめしの問題でした。