今朝、自転車で家を出て5分ほど。
またあの黄色自転車のサラリーマンに会ってしまった。
全然知らないヒトなんだけれど、これまで4〜5回ほど見かけています。
このヒトと私は、通勤ルートがほぼ同じ。
しかも、素早く駆け抜けるわけでもなく、
ノロノロ走るでもなく、ほぼ同じ速度のペースで、ずっと30分ほど併走するのです。
同じ道を一定の距離を保って見知らぬヒトと30分。
こういうの、オジサンは苦手だぞぉ。
たとえその相手がキレイなオネーサンで、そこから何やらあやしい雰囲気が
漂ってきても、私はただその間の空気に戸惑ってしまうのです。
声をかけるほどでもないし、とにかく困る。
いや、私がひとりで勝手に自意識過剰なのでしょうけれど…。
それでもやっぱり、シャイな私は
10分ほど走ったところで、とうとう交差点を左折してしまいました。
「いつもここで左折してんだもんね」
という無意味な「フリ」をしている自分が滑稽にも思えてくるけれど、
とにかく私の負け。遠回りの道に進んでしまった。
それでも私はミョーな緊張から解放され、
気持ちがとても楽になりました。
と思ったのもつかのま。
交差点の信号待ちのクルマが
ピピッとクラクションを鳴らして、サイドウインドを下ろした。
ドライバーが顔をこちらに向けて、大声で私に叫んだ。
「ああ、やっぱりイトウシューイチさんじゃないですか!
ごぶさた〜っす。元気ですか? 自転車なんてエライ健康的でいいっすねえ」
見覚えもないヒトに会ってしまった場合、
そのヒトが私の名を呼ぶときの呼称や言葉遣いを聞いて
どんな知り合いだったかを推測するのですが、
フルネームで呼ばれ、敬語ともタメグチともつかない言葉で話しかけられ、
私はまったく見当がつきません。
ワシはどんな口調で話せばいいのかわからず、
「ハハハ‥‥ハ…ハ。どうも」
と、曖昧な返事だけをして、
信号が青になるまでの時間を無限に感じながらやり過ごした。
そのヒトが、この拙文を見ていたら心からゴメンナサイ。
私は貴殿がわかりませんでした。
もうホントに、朝からめんどうな緊張はヤだなあ。
と思いながらようやく会社に到着。ビルのエレベータを待っていた。
扉が開くと、同じビルで会社を経営する知り合いのアメリカ人が降りてきました。
「Oh! Good mornin' ..... Wah! Nice Bike!! You ◇※☆▼×# You know?」
「グッドモーニング クリス。カッコイイデショ。…ハ、ハバナイスデイ」
エレベータを降りるヒトや乗り込むヒトが大勢いる前で
恥ずかしいカタコトニホンゴ英語を披露して、数人のヒトとともにエレベータに乗り込んだ。
4階までの時間は、むなしく長かった。