新幹線に乗り込んだワシは
おもむろにメッセンジャーバッグをガサゴソと探る。
取り出したのは買ったばかりのiPad。
この移動時間にササッと仕事をこなせるのは便利だし、
何より話題の新商品という歓びがある。
ワクワクワクワク。
モニタ上に現れる
ずいぶん不便に思えるキーボードを打つことでさえ
ちょっとした楽しみだったりするのですから
ワシもミーハーなのですね。
ウキウキとした気分がやや曇ったのは
それから十数分後のことでした。
隣の席のお兄さんがチラチラとiPadを眺めているのがわかる。
で、小心者のワシはそれを意識せずにはいられないのです。
自慢気に仕事を続けている自分が
なんだか恥ずかしい。
かといって、
よかったら触ってみますか?
なんて声をかけるのも、なんだか余計なお世話だよな。
自慢気なのを強調するんじゃないかと思うし、
ワシの自意識過剰なんじゃないかと。
そんな空気に耐えられず、
とうとうワシはいろいろいじってみたい欲望を抑え、
カバンの中に納めてしまいました。
…ホントに小心者で、気にしイのワシの性格が
いやになるのでありました。