この星の冬は厄介だ。
子どもの頃から冷たい風に当ると、
しばらくの間、恥ずかしくなるほどボロボロと涙が流れる。
だからこの時期、毎朝泣いているような状態で
自転車を漕いで通っている。
今朝も同様、
グズグズと激しく涙を流しながら
星ヶ丘三越の前で信号待ちをしていたその時。
「人生、いいことばっかじゃないんでよ。がんばりゃぁて」
という声とともに視線を感じた。
そっと振り返ると、
オフホワイトの作業着を来たオジイサンが
明らかにこちらの目を見て、ワシに向かって話しているように見える。
目があった瞬間にオジイサンは
「のぉ」
と念を押すように頷きながら微笑んだ。
どうしてこっち向いて話してんだろう?→
泣いている自転車中年野郎に見られて励まされてる?→
そりゃ猛烈に恥ずかしいじゃん→
いや待て。これは相当にいいオジイサンじゃね?→
すっげー感動物語!!!
と、約一秒の間にワシの思考は素早く変換されていった。
その瞬間にワシはなんとなく
「ありがとうございます」とお礼を小さくつぶやいた。
そしたらオジイサンはもう一回
「のぉ」と言って頷いた。
信号が青に変わる時、ワシは再度
「ありがとうございました!」と残してペダルを踏んだ。
その時間がなんだかとても照れくさかったので
もう後ろは振り返ったりしなかったけれど、
サイコーにいい朝だった。
こんなコミュニケーションが残るニッポン、
まだまだ捨てたもんじゃない。
コメント (1)
コメントありがとうございます。
スパムコメントに埋れて返信が遅くなりました。
すみませんでした。
私もビビったんですよ。
話しかけられた時は。
でも気のいいオッサンの一言、ホントに嬉しくなりました。
投稿者: 伊藤秀一 | 2011年2月14日 00:03
日時: 2011年2月14日 00:03