◆第一話「木造アパートと体育館イベント」
「これからは名古屋も東京もない!!!オフィス移転だ」
と意気込んだものの、ここはどうなんだ。名古屋で言えば住吉町の路地のような、東京で言えば中野の飲み屋街、横浜でいえば中華街のような雑踏にある木造アパートにオフィスを移した。
間取りは6畳二間の和室とキッチンの2K。キッチン脇のデスクにワシと社員3名。和室のコタツにはその他メンバーが半纏姿で肩を寄せ合ってギッシリと座ってMacのモニタに向かっている。そこに顧問税理士がやってきた。う〜ん…。キッチンの流し台で仕事をしてもらうしかない。
「キュウクツだなあ、おい」
こんな環境からホントに成長ができるのか? 新しい何かが生まれるのか? 希望を描いて移転したはずなのに‥‥。大丈夫なんか? 不安で仕方ない。息苦しくなってその木造アパートオフィスを出た。
そういえば今日は大きなホールでジオコス主催の事業成果発表会をやっていることを思い出した。さっそく会場(薄暗い体育館のような場所)に到着すると、営業マンA・スグルがすでにステージ上でマイクを握って何かの司会進行役を務めていた。スグルが何やらの紹介をしたあとにステージに登場したのはお揃いのデパガ風の装いの女性ふたりだった。彼女たちは百科事典のような大きな本を机に2冊並べ、それをお互いの手をクロスさせながらリズムよくページをめくりはじめた。舞台脇には法被姿の元社員ぺー太郎が威勢よく和太鼓を叩いている。説明は何もないのだけれど、会場は拍手の渦。
客席のような場所で脚を投げ出して椅子に座っている「かぶ○やグループ」の岡○社長が苦笑いを浮かべながらステージを見て言った。
「あれね、右ッ側がウチのヨメでさ。家でいつも練習してたのはコレだったんだなあ‥‥」
と、ちょっとてれくさそうな表情を向けてきた。客席の中には、ク○坊社長もいて茶色の作務衣姿で耳をほじっている。
ワシは不安になって営業マンB・タツヤを呼んで聞いた。
「オマエこれ、誰のためにやってんだ? 儲かってのんか?」と。するとタツヤは「わかりません」と言って走って逃げた。
◆第二話「超ショートストーリー」
10年以上前に担当していた税理士さんがワシの机に一枚のメモを差し出した。
「あなたが不正取引をしている可能性がわかりました」
と書かれている。なぜそんなことを言われるんだ? ワシには曇りは一点もないはずだ!と怒りに震えていた。
◆第三話「運転」
なぜか庶務のカッパちゃんがクルマを運転している。高速道路の出口付近に来たときに「もうこの道を走ってもダメなんで、ワタシ、もうこっちに行きます」と言っていきなり原っぱを走り始めた。ワシは大慌てなんだけれど、後部座席のスグルは「まあ、いいんじゃないっすか」と冷静のままだ。ワシは「そんなところを走ったら事故るぞ!」と静止しようとしたけれど、実はそのハンドルを握っているのはワシだった。いきなり運転席にいてアセった。
◆第四話「東京自社ビル拡大計画」
新築の自社ビルが建つことになった。大手町のような新宿のような赤坂のような大きなオフィスビルが並ぶ場所だった。自分の会社だけでなんと5フロアを使う予定だと。3人で1フロアを使うのか? 社員は喜んでいるけれど、なんでこんな買物したの? こんな場所をいつ選んだんだ? ワシはいくらの借金を背負い込んだ? まったくワケがわからなくなっているのに、どんどん拡大計画の書類に囲まれている。誰かに騙されているんじゃないか?と思っている。
どうですか?
気が狂ってると思われるかもしれませんが、
夢なんてそんなもんですよね。
近頃、新作の夢が楽しみになってます。