人は老いるなあ。
バブル期に威勢よく遊行していた同世代たちも、
輝きをなくしタルんだ表情の翁だ。
その御仁を眺めていると、
老いとは何ぞやに気付かされる。
新しい刺激を求めなくなり、
モテようとする努力を怠るようになり、
名前だけで価値を判断するようになってしまい、
家庭菜園とか骨董蒐集とか、
意志を示さず動かないモノに興味を示し、
四半世紀前の価値観で思考して、
何ごともほどほどで満足できるようになっていく。
当然ワシにも当てはまる。
休日は靴磨きだし、
庭でコシアブラの木を育てられないか考える。
ノスタルジックな思い出も大事だ。
それでもまだまだ
仕事なら一人前のスキルを発揮できると自負しているし、
ちょっとはモテようという下心だって
全然ないわけじゃない。
‥‥が、
現実とは残酷だ。
GW前の夜、呑み会の約束をしていたにも関わらず、
急遽の打合せが夜になって入ってしまった。
「20時頃には終わるはずだから」
と呑み友オジサンに伝えたら、
「そんな遅い時間になっちゃうなら今夜はヤメにしよう」
とあっさり断られてしまった。
我らの世代にとって
20時はすっかり遅い時間になった。
しかしまだ別の宴に飛び入り参加できなくもない。
にもかかわらず、
ワシは帰り道の地下鉄ホームに立っていた。
なんだろうこのサエないオッサン。
あちこちで判断をしていることが
正解かどうかもわからず、
モヤモヤとすっきりしない胸の内を抱え人生は進んでいく。
この頃は呻吟する毎日ばかり。
いろんなことが、
なんか失恋した気分に似ている。
ま。信じるしかないな。
芸能人の言葉で「生きてるだけで丸儲け」って…。
アレは名言だな。
などと考え地元最寄り駅に着いた。
そこから自宅に向かわず、
赤ちょうちんの暖簾をひとりでくぐった。
ぼんやりとスマホの流れる時事ニュースを読みながら、
生ビールを２杯だけ呑んだ。
イカンいかんイカン！！！
これぞ輝きをなくすオヤジの姿だ。
我に返り大将と談笑に興じ、
ほろ酔いの帰り道。
新規オープンしたばかりのスポーツジムの、
空っぽのエアロバイクの景色が、
虚しさを助長する。
ゴールデンウィークには、
ユルく愉しい充電をすることにしよう。