それでも‥‥。
春の陽ざしを浴びて
ドライブするなんて気持ちEじゃん!
聴き取りにくいオーディオから流れてくる
山下久美子のBGMもいい。
(ていうか竹花いち子さんの甘酸っぱい詞が堪んない)
このまま観光地まで走りたい。
‥‥が、しかし!
同乗しているのは社員だ…。
「スミマセン助手席がワタシで‥‥」
とナツコは恐縮するものの、
悪いのはキミではない。
しかも、商談のための移動だというのに
狭くうるさく乗り心地の悪いドライブに付き合わせて
申し訳ないのはむしろワシの方だ。
でもワシは、
このドライブが嬉しい。
かつて。
夜の繁華街に出向き、
ギラギラとした欲とか鬱憤とか
喜怒哀楽のエネルギーがひしめく場所で
酩酊する機会はめっきり減った。
その代わりこんなふうに
移動の時間を愉しんでいる。
かなり重要な変化だ。
二十代の頃に没頭した
西風氏のコミック『GT Roman』を
もう一回読んでみたくなった。