そして変わったのは
10年目になるモースケだ。
これまでずっと社内ではおとなしく、
お地蔵様と呼んでしまうほど
社内でじっと黙って存在感を消していたモースケに
後輩ができ日々お兄さん面で指導している。
なんか急に頼もしくなった。
会社で卯建が上がらず、
家で鬼嫁にアタマが上がらない
冴えない雰囲気をむしろ活かして
自らのキャラ付けをできるようになってきた。
そのモースケの足元を見たら‥‥
アカン(T_T)。 靴が汚ねーったらない。
「ソイツを脱げ!
そんな手入れもしていない靴じゃ、
仕事のできんボンクラにしか見えんわ!」
と罵りムリヤリ靴を脱がせ、
それを磨いた。
傍で見ていた短時間労働のママ社員が
「それ、今やることですか?ヒマですか?」
と、ややイラついた口調でワシを攻める。
いや。大事なことなのだ。
他の社員は
「社員の靴を磨く社長ってダサいですね」
と冷ややかで作業に見向きもしない。
乳化性の補色クリームがなく、
ニュートラルの油性ワックスのみで磨いたという
マニアックな言い訳をするのは、
色ムラが取れず、デキとしては大いに不満だからだ。
しかし少しはマシになった。
意地悪なワシは片方しかやってやらねー。
といって返した。
せっかくの善意も半分だけだとハラスメントだ。
「コレじゃ外歩けないッス」
と泣き顔だったので仕方なく両方磨いた。
ご指摘どおり、ヒマです。