隣のビルにインドカレー屋がある。
ランチ前後と夕暮れ時、
毎日欠かすことなくインド人店員がビラを配り、
客引き活動に勤しんでいる。
めちゃくちゃ勤勉な人たちだ。
行って食えば確かにうまい。
けれど、名古屋屈指のサラリーマン街、
ランチ激戦区の伏見だ。
なかなか大繁盛するのは難しい。
しかも残念なのは、
『ナンタベホウダイ＊＄＃＠＆オイシイლڡლ§¶〒几〜！』
と一生懸命声がけしている日本語が
イマイチ聞き取れないので
彼らの努力は虚しくも
素通りされてしまうことが多い。
決して大繁盛はしていないけど、
サラリーマン集団や科学館帰りのファミリーが
来店している姿をしばしば目にする。
それを見てなぜかワシは
ちょっと安心する。
ご近所で常連のワシは、
いつも何かを話しかけられ、
頼んでもいないアイスコーヒーがサービスされる。
ありがたいんだけれど、
ランチセットはマンゴージュースが
デフォで付いているので、
お腹はまあまあはち切れそうになって
ちょっと困る。
しかしインド人の好意を無碍にもできず、
典型的ニッポン人のワシは
意味不明の愛想笑いを浮かべながら
「ありがとうね」と言ってそれをムリヤリ流し込む。
お会計の時になると、
「モウスグ ミソノザガデキテ ソウナルト ウレシイネエ」
と、世間話もしてくれるけれど、
なぜか会話の難易度が高い。
だけど伏見の風物詩として、
この人たちにずっとこの土地で商売してほしいな、
と願うワシなのであった。