□世界的問題である「海洋ごみ」。
約8割が日常生活から発生。

□「海洋ごみ」の種類別割合のうち、
65.8%がプラスチック。

□世界中でプラスチックを
規制する動きが加速。

□日本政府もプラスチック関連の
各種施策に対して本格的に始動。

□実現には専門知識や技術を有する
「人」による管理・助言が不可欠。

□海洋環境の保全の仕事は、
世界各地で必要とされている。
世界的問題である「海洋ごみ」。
約8割が日常生活から発生。

環境省が取り組む政策分野の1つに「水・土壌・地盤・海洋環境の保全」があります。特に海洋環境の保全において世界規模で深刻化しているのが、プラスチックを含む「海洋ごみ(漂流ごみ・漂着ごみ・海底ごみ)」の問題です。中でも海に流出した廃プラスチック類(海洋プラスチックごみ)の約8割が、我々の暮らしから発生していると言われています。

「海洋ごみ」の種類別割合のうち、
65.8%がプラスチック。

海洋ごみには、木材や自然物、海で使う道具(漁網や釣り糸類)などがありますが、環境省による「海洋ごみをめぐる最近の動向」によれば、種類別に見るとプラスチックが最も多くの割合を占めているとのこと。その流出量は少なくとも毎年約800万トンと言われ、2050年には海洋中のプラスチックごみの重量が魚の重量を超えるという試算も出ているほどです。
軽くて風や水に流されやすいプラスチック類は、一度海に流出すると半永久的に分解されることなく、世界中の海を浮遊し堆積していきます。さらに粉砕されて5mm以下になったプラスチックは「マイクロプラスチック」と呼ばれ、海洋汚染および生態系に多大な影響を与え続けるのです。

世界中でプラスチックを
規制する動きが加速。

2018年6月に発表されたUNEP(国連環境計画)によると、世界127カ国でレジ袋の法規制が実施され、83カ国が無料配布を禁止しているそうです。ヨーロッパではマイクロプラスチックが問題になる以前から、レジ袋の規制がスタート。今から約30年前、イタリアの海岸に打ち上げられたクジラの胃から50枚ものレジ袋が見つかったというニュースを機に、無料で配布されていたレジ袋有料化の動きが急速に高まったと言われています。


○EU(欧州連合)

2019年7月発効した「特定プラスチック製品の環境負荷低減に関わる指令」について、EU各加盟国が当該指令を国内法制化することで、2021年7月3日から一部適用を開始。9種の使い捨てプラスチック製品(綿棒の軸、カトラリー(ナイフ、フォーク、スプーン、箸)、皿、マドラーなど)と、オキソ分解性プラスチック製の全製品の市場流通禁止措置。

○イギリス

2020年10月1日、使い捨てプラスチック製ストロー、プラスチック製マドラー、プラスチック軸綿棒の供給を禁止する規制を施行。

○台湾

2030年までに段階的に使い捨てプラスチック製品を全面禁止。

日本政府もプラスチック関連の
各種施策に対して本格的に始動。

日本政府も使い捨てプラスチックの排出削減に取り組むにあたり、2019年5月31日に以下、環境省より発表しました。


○「プラスチック資源循環戦略」の策定について
○「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」の策定について
○「海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進するための基本方針」の変更について


策定した内容には、プラスチックごみの回収から適正処理の徹底、ポイ捨てや不法投棄、非意図的な海洋流出の防止、既に流出したプラスチックごみの回収に取り組むことなどを基本としています。また、海洋に流出しても影響の少ない素材の開発や転換等についても推進しています。プラスチックを減らす具体的なアクションとして、各自治体のルールに則ったプラスチックごみの分別や回収、レジ袋の有料義務化などが行われていますが、ごみとして処分されるプラスチックが未だ多いのも現状です。

実現には専門知識や技術を有する
「人」による管理・助言が不可欠。

海洋プラスチックごみ対策をはじめとする国の各種施策の推進に伴い、各自治体や企業等は、実現に向けた具体的な取り組みが急務となっています。とはいえ、海洋環境の保全は、専門的な知識や技術を持つ人の持続的な管理や、適切なアドバイス等がなければ実現できない取り組みも少なくありません。海域・陸域の環境や水質の現地調査、採取したデータの分析や報告書の作成等の調査業務の取りまとめ、大規模な開発事業等を行う場合は環境への事前調査(環境アセスメント)、環境保全の計画等も必要です。取り組みによって必要な専門知識、資格、実務経験などは異なるものの、裏を返せばこれらを持ち合わせることで、日本のみならず、世界で活動できる可能性にもつながるでしょう。

海洋環境の保全の仕事は、
世界各地で必要とされている。

人間の生産活動により生まれた海洋汚染は、もはや待ったなしの状況です。世界的な課題であるからこそ、海洋環境の改善から防止・維持まで導く仕事は、今後さらに需要が高まっていくでしょう。※「海の環境を守るシゴト」に関する記事はこちらです。

※記事作成:2021年9月時

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こちらの記事は 2021年09月29日に公開しており、
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